愁が帰宅する頃には、いつももう日付が変わっていた。



いつものように、自分の合鍵を使って愁は真っ暗な我が家に入った。



家族は誰一人起きていない。起きていたとしても、顔を合わせることはなかった。





『家族』――



便宜上その様な表現をしたが、果たして自分と同じ家に暮らす住民たちのことを、家族と呼べるのだろうか…?



『家族』について考える時、愁はいつも苦笑を浮かべてしまう。