「知ってるわよ。」



ダーツを投げながら、女は答えた。





「なんで～！？あんた絶対理杏とは違う学校だよね～？なのになんで知ってるわけ～！？」



今度はカップルの女の方が甲高い声でまくし立てた。



ダーツ女は、少し眉をひそめた。あまりにキンキンした声が、よほどうるさかったのだろう。




「あなたたち、自覚してないかもしれないけど、結構な有名人よ。」




そう答えて、女はダーツを持った手でカップルの男を指した。




「立原 瑞樹(ﾀﾁﾊﾗ ﾐｽﾞｷ)。私立創城学園高校2年。ボクシング界の期待の新星。」

「なっ…」



唖然とする男には構わず、今度は女の方を指す。



「鏑木 理杏(ｶﾌﾞﾗｷﾞ ﾘｱﾝ)。私立真宮高校2年。新体操で何度も表彰され、特にリボンを使った競技が得意。」

「なんでそんなこと…」


女の方も、戸惑った表情を浮かべている。