それは、黒い封筒だった





愁は一層奇妙な感覚にとらわれた。







その封筒には、切手が貼っておらず、宛名も書いていなかった。





宛名があるのであれば、もしかしたら『家族』の誰かが、珍しくも愁の部屋に入り、それを置いて行ったということも考えられる。



しかし、この封筒には宛名がない。当然だが、誰へ宛てた手紙なのか、中を見なければ分からない。だが、この封筒には開けられた形跡は全くない。








不気味に感じながらも、愁は封筒を手に取り、封を切った。