気怠さを感じながら、愁は階段をのぼり、自室に入った。



家に入ってから、なんとなく息が詰まりそうな感覚に陥っていたが、部屋に入ったとたん、呼吸が楽になったように感じた。



愁はそのままばったりとベッドに倒れこんだ。







ふと、机の上に何かが置いてあるのを見つけ、愁は奇妙に思った。



特に約束をした訳ではないのだが、『家族』は誰一人として、絶対に愁の部屋には入らないのである。



だとしたら、いったい誰がその見覚えのないものを愁の部屋の中まで運んだというのだろう?



重い身体を起こし、それが何なのか確かめるために、愁は机に向かって歩き出した。