「と、とりあえず、将来のことが迫ってきてるし、勉強は最優先かな・・・。あ、でもカツヤと一緒にいたくないとかそういうことじゃなくって。」

カツヤのするどい視線を感じて慌ててフォロー。

ふぅ。

なんでこんなにカツヤに気を遣わないといけないの?

だって、私の進路がかかってんだよ?

タイスケ、助けて~。

カツヤは、前髪をかき上げた。

「勉強するのは、全然気にならないんですけど、やっぱタイスケさんとずっと一緒ってなると、俺としては、心中穏やかでいられないっていうか。」

「あはは、そんなこと気にしてたわけ?お前もまだまだだなぁ!」

タイスケはカツヤの肩をぽんぽんと叩きながら、大きな声で笑った。

ばか。

ここ図書館よ!

思わず、タイスケに「シー!」って言ってやった。

「あ、わりいわりい。いや、でもさ。カツヤが思ってるような関係じゃないから、俺ら。本当だって。俺も、ナツミも全くこれまでだって、一度だって、そういう雰囲気にならない相手だったからさ、こうやって一緒に勉強できてたんだって。ほら、カツヤ、想像してみろよ。ドキドキするような相手と、真剣に受験勉強に向き合えるか?心ここにあらずになっちまうもんだろ?誰がそんな相手と一緒に勉強する?それに、俺らここで勉強するっていっても、来る時間も帰る時間もバラバラ。たまたま横に座ってたっていうだけの存在だからよ。こいつの勉強時間が終わったら、カツヤが迎えにきてデートなりなんなり楽しめばいいじゃんよ。」

一気にタイスケがまくしたてた。

容赦ない説得力。

しかも後輩にあたるカツヤとしては、それ以上何も言えなくなっていた。

タイスケ。

すごいわ。