タイスケはもう来てるんだろうか?

時計を見ると、10時半。

いつもならそろそろ来てるはず。

図書館の入り口からそっと顔をのぞかせた。

いつものテーブル。

タイスケの背中が見えた。

もう勉強始めてる様子だった。

問題集のページをめくって、難しい顔で参考書を眺めている。

私もついこないだまで隣で同じような顔してやってたんだろうな。

こうやって、真剣に参考書を眺めてるタイスケの横顔。

結構好きだった。

ドキドキするのとは違って、なんていうか、私もがんばらないとな!って思わせてくれる姿。


しばらく、そんなタイスケの姿を入り口から眺めていた。

その時。

「ナツミさん?」

後ろでカツヤの声がした。

「入り口で何やってんっすか・・・?」

少し不安気な表情。

カツヤもタイスケの姿を見つけた。

「タイスケさん、ですよね。」

「うん。」

「すっげー真剣に勉強してるんだ。」

「そうだよ。当たり前じゃん。」

思わず声に力が入ってしまう。

カツヤはチロッと私を見て、すぐにタイスケの方に歩き出した。