「じゃ、さ。」

タイスケが小声でつぶやくように言った。

「カツヤに言わなきゃいいじゃん。俺と一緒に勉強するっていうよりも、たまたま勉強してたら隣に俺がいた、みたいな感じでさ。」

「なっ・・・?!」

何言ってんの。

「別にそこまでして、あんたと勉強しなくてもいいし。」

「は?俺がお前の進路を導いてやったんだぞ。一人であの問題集やりきれるか?お前。わかんない問題あったら誰に聞くんだよ。」

「学校か塾の先生に聞くわよ。」

「その時間がもったいないっていうの。わかんない問題はすぐにその場で理解しないと身になっていかねぇんだよ。」

ものすごい説得力。

確かに言えてるわけで。

「俺も別にやましい気持ちで言ってるわけじゃなくってさ、お前をK大受験に引きずり込んだ手前、やっぱこんな中途半端で終わってほしくないしよ。」

やましい気持ちで言ってるわけじゃなくて・・・

ふん。

そういう言葉にいちいち傷つくのよ。

そういうのが辛いわけよ。

あんたと一緒にいたら。

だけど。

勉強するとき、隣にタイスケがいてくれるのは本当にありがたかったんだよね。

一人より、やっぱ張り合い出るし。

わかんない問題はすぐに教えてくれるしさ。