「別に。今は勉強する気がしないってか。タイスケといると、イライラするしさ。」

「なんだよ。何か俺お前を不快にさせるようなこと言ったっけ?」

そらきた。

この無神経男。

っていうか、タイスケは何も悪くないよね。

私が勝手に傷ついてるだけの話。

「なんなんだろうね。タイスケはいっつもマイペースでさ。合わすのに疲れるっていうか。」

「それとこれとは別次元の話だろ。お前の進路の話してんだ。」

「今は振り出しに戻ったって感じ。これから考えるよ。」

「お前、考えるって時間ねぇぞ。とにかく勉強だけはしとけって。どうとでもなるんだしさ。カツヤだってK大目指してるって言ってたし、問題はねぇじゃんよ。」

そういう問題じゃないのよ!

って叫びそうになるのをぐっとこらえる。

「それにさ。俺も張り合いねぇんだよ。お前が横で勉強してくれないと。」

急にトーンが下がる。

何言ってんの。タイスケ。

そんな風に言われると、こっちまで切なくなっちゃうじゃない。

「カツヤとは仲良くやりゃいいけどよ、勉強だけはしろよ。これはお前のために言ってるんだ。」

えっらそうに。

でも、自分の進路が振り出しに戻って、鬱々していたのは事実。

もう一度K大目指すっていうのは、タイスケさえオッケーならそうしたかったのも事実だった。

ただ、タイスケと横に並んで勉強するのは、もうできない。

「わかった。とりあえず勉強再開するよ。」

「おおっ。さすがナツミ。これで俺のエンジンもかかるぞ。」

「だけど、あんたとは一緒に勉強しないから。」

「え?」

「だって、今カツヤと付き合ってるし。いくら友達だからって、そこまで私も無神経なことしたくないから。」

タイスケがだまった。