カツヤは少し考えてから言った。

「そういうのって、恋人同士だった場合の話でしょ?」

そりゃ、そうなんだけどさ。

それに限りなく近い関係だったわけで。

好きでもない相手と1年半も恋人みたいな顔して付き合うなんて、想像もつかないって。

お互い好きな人ができたら関係解消?

人の気持ちって、そんな簡単にはいかないでしょ。

まぁ、真面目一徹、素人の感覚かもしれないけどさ。

「ナツミさんは俺と付き合ってるって意識ありますか?ナツミさんこそ、俺の彼女バイトしてるみたい。」

カツヤは自嘲的に笑った。

彼女バイトだなんて思ってもみなかったけど、はっきりと否定できない私。

「それに、ナツミさんとタイスケさんは本当はどういう関係だったんですか?」

うっ。

今一番触れてほしくないところなのに。

「タイスケは、友達よ。」

カツヤから目をそらして、口をとがらして言った。

「友達?」

「うん、そう。タイスケも言ってたでしょ?私を『ダチ』だって。」

「友達で、あれだけ毎日一緒にいられるかなぁ。」

カツヤが今度は優勢。

「いられるわよ。だって友達だもん。」

少しムキになって言う。

「俺は、男女の友情が成り立つなんて嘘っぱちだと思ってるから。彼女彼氏バイトっていう関係の方があり得る話。」

「そんなことないわよ!バイトっていう感覚の方が信じられないわよ。」