手をつながれたまま、映画館の道のりを二人で歩く。

二人とも無言。

なんだか、嫌だな。

息が詰まりそう。

タイスケとは、会話に困ることなかったよな。

いつも何か話してた。

目にうつるもの全てが会話になって、盛り上がってたっけ。

あー。

どうして、こうもタイスケと比較しちゃうんだろう。

友達じゃなくて恋人っていうだけで、こんなにも息苦しい存在になるもんなの?


「ねーねー。カツヤ、例のW大の彼女さんはもう大丈夫なの?許してくれた?」

何話していいかわかんなくて私から切り出した。

別に、わざわざこんな話しなくてもいいんだけど。

カツヤは眉間にしわをよせて私を見た。

「あいつの話はやめましょう。もう終わってるし。」

「あ、はい・・・。ごめん。」

「すみません。もしナツミさんが気になるようならきちんとお話しますけど、本当にきれいに話はついてるから。」

「うん。それだったらいいんだけどね。」

そして、また沈黙が流れる。

W大の彼女。

あのとき、図書館で私を見るするどい目線から察するに、結構カツヤにマジ惚れって感じだったんだよな。

彼氏バイトだなんて、カツヤは言ってるけど、彼女は本当にそうだったのかしら。