その点、カツヤは私を女性として意識してくれてるんだろうね。

だからこんな甘い映画。

その気持ちはうれしいんだけど、正直見たい!と思う映画は一つもなかった。

「んん、どれもおもしろそうだね。カツヤはどれがみたいの?私はどれでもいいし。」

「あ。そうっすか?じゃ、これなんかどうでしょう?」

「うん。いいよ。なんかカップルばっかりいそうな内容だけどさ。」

「そ、そうかな。じゃ、とりあえず映画館に向いましょうか。あと30分で始まるみたいだし。」

私はうなずくと映画館の方へカツヤと並んで歩き出した。

その瞬間、私の右手がふわっと大きな手に包まれる。

あ。

カツヤが私の手をにぎっていた。

少し驚いて、カツヤの方を見た。

カツヤは頬を染めながら、照れ笑い。

「嫌っすか?」

いや、いきなり?ってびっくりしただけだけど。

「嫌っていうか、びっくりした。」

「じゃ、いいですよね。このままで。」

「うん。」

ふぅ。

ドキドキした。

さすが、っていうか。

こういうところは女性に慣れてるのかもな。

タイスケなんて、あんなけ一緒にいて、絶対手なんかつないで一緒に歩くことなかったっけ。

いやいや、タイスケのことなんて、どうだっていいんだから。