翌日。

気が重いけど部活に向う。

今日は参考書も問題集も持ってないからやけにかばんが軽い。

その軽さに逆に違和感を覚えつつ。

いつもより早い時間。

きっとまだ誰も来てない。

だからこの時間に来た。

やっぱり昨日の今日だもの。

タイスケとカツヤにバッタリ会うのだけは避けたかった。


こそこそと更衣室に向おうとした時。

「ナツミさん。」

ふいに私は肩をつかまれた。

振り返ると、カツヤだった。

はぁ。

今日は絶対二人きりになるまいと思ってたのに。

「あ、おはよ。」

なるべく自然な顔をして言う。

「おはようございます。昨日はすみませんでした。」

カツヤは前髪をかきあげると、一礼した。

「俺、例の彼女のバイト、断りましたから。」

「は?」

「あんなバイトしてる以上、誰を好きになったって、誠実な気持ちを伝えることなんてできないって。ナツミさんと話してて思ったんです。」

「・・・。」

「だから、俺、今日きちんともう一度ナツミさんに自分の気持ちを伝えたくて。」

心なしか緊張した顔のカツヤだった。

そんなカツヤの言葉と姿に、少しだけ愛しさをおぼえた。