タイスケは「ちぇ」と小さく舌打ちした。

「おう、関係ないよ。カツヤのことが心配なだけ。こんな人の気持ちなんて屁とも思わない奴を好きになって傷つきゃしねぇかってね。」

ムッカ~!

お腹がどっくんどっくんいってきた。

「あ、そう。別にあんたに私のことなんて理解してもらおうなんて到底思ってないし。カツヤのことだって、あんた、何も知らないくせに知ったような口きかないでよね。」

「な、なんだよ。何も知らないって。おまえよりはるかに色んな話してるぞ。」

「例のW大の彼女さんの一件だって知らないでしょ。」

「あ?彼女?」

しまった。

口がすべった。

私はまた正面をむいてフィレオフィッシュにかぶりついた。

「なんだよ、その彼女の一件ってさ。あいつらはやっぱ付き合ってるわけ?」

「ま、いいわよ。その辺の話は。・・・っていうか、タイスケだってカツヤのどこまで知ってるの!って言いたかったわけ。」

タイスケはわざとらしく大きなため息をついた。

「おまえも、結局カツヤと結構つながってんじゃん。そんな個人的な話までする仲にまでなって、カツヤも思い損だな。」

何すねたようなこと言ってんのよ。

私はきいてないふりをして、ひたすら無言で食べ続けた。

「カツヤとは付き合わないんだな。」

タイスケはボソッと言った。

私はタイスケの方を見ずにうなずいた。

「タイスケにとって、カツヤも私も同じ『ダチ』なんでしょ。それならカツヤばっかかばうんじゃなくて私の側にも少しは立ってよね。」

イライラがおさまらなくって、捨てぜりふのつもりで言ってやった。

「そうだな。悪かったよ。」

タイスケはそう言うと、またコーラをすすった。

ふぅん。

『ダチ』っていう言葉にそんなに素直に従うわけ。

へー。

私はカツヤと同レベル。男友達と一緒なんだ。