振り返ると、タイスケが憮然とした表情で仁王立ちしていた。

げっ。

なんでまたこのタイミングで戻ってきてんのよ。

帰ったんじゃないの?

カツヤはさすがに少しひきつった顔をしていた。

「ち、ちーっす。タイスケさんもどうして・・・。」

私がフォローを入れる間もなくタイスケは言いはなった。

「俺?毎日こいつとここで勉強してんだ。」

「ま、毎日ですか?」

「おう。悪いか?」

カツヤはだまって私の方を見た。

「・・・タイスケさんとナツミさんって付き合ってるんっすか?」

カツヤはゆっくりと聞いた。

私の方を向きながら、タイスケに向って。

なんだか心臓が痛い。

タイスケはなかなか答えようとしなかった。

苦しい。

なんだ、これは。

早く言えっての。

「俺とナツミは、」

鼓動が次第に早くなっていく。

どうして?

「ダチだよ。」

肩の力が抜けると同時に、気持ちの真ん中も一緒に抜けていった。

そりゃ、そうだよ。

うん。

タイスケの言ってることは間違いじゃない。

カツヤは続ける。

「ダチって・・・。毎日会ってるのに?」

「ダチだったら毎日会っちゃいけないのかよ。」

「そんなことはないけど。でも、同性じゃないわけだし。」

「異性でダチになっちゃいけないかよ。」

怖くてタイスケの顔が見れなかった。

タイスケと私は友達。

そうだよ。

それは理解してる。

はず。