ちらっとカツヤの方を見ると、カツヤはほおづえをついて私を見ていた。

な!

そんなに見られたら、一層問題が頭に入ってこないじゃない!!

頭がカーッと熱くなる。

「カ、カツヤは何しにここへ来たわけ?」

問題集に目をおとしたまま聞いた。

「ここに来ればナツミさんがいるかなぁって思って。」

カツヤはほおづえをついたまま、意味深な笑いを浮かべた。

なるべく、意味深さを意味深じゃなくするべく、自然な流れを作ろう。

私自身の気持ちの防衛本能。

「で、何?何か用でもあるわけ?」

カツヤはくすっと笑った。

「用がなきゃ会いに来ちゃいけませんか?」

「もう!先輩をからかうのはいい加減にしてよ。」

少し本気で怒った。

「からかってなんかいませんよ。」

「うそ。」

「うそじゃないです。今日、部活前に話したこと、全部本当の気持ちだから。」

「信じない。」

「どうしてですか?」

「だって・・・。カツヤは家庭教師だなんて言ってるけど、あの彼女さんは絶対単なる家庭教師じゃないって、女の勘が働くもの。」

「根拠はあるんですか?」

根拠は、あるわよ。大ありよ!

だけど、言えないよね。