いつもなら、もっとタイスケに怒鳴ってるところだけど、なんだか今日はそれができずに黙ったままうつむいた。

「おっ、カツヤ、今日もよろしくなー。」

タイスケは脳天気にカツヤの肩を叩いた。

カツヤは軽く笑ってうなずいている。

「タイスケさんって、進学するんっすよね?」

カツヤが徐ろに言いだした。

え?

ひょっとして、図書館での話、今確認しようとしてるわけ??

額に嫌な汗が噴き出してくる。

「おう。大学進学予定よ。」

「どこの大学っすか?」

「え?何、お前俺の進路興味あるわけ?」

タイスケはふざけた調子で笑った。

「いや、俺も大学進学希望してるから、参考までに聞けたらなーって思って。」

「そっか。お前もか。俺はここだけの話しK大が第一希望だ。」

「え?K大っすか?すっげー。」

カツヤ、私から聞いて知ってるくせに。

「まぁな。あくまで第一希望だけどよ。でも、がんばるぞ。」

タイスケは少し得意気に小鼻をふくらませた。

ばかなやつ。

面をつけながら、面の間から盗み見る。

こうやってると、相手にはどこ見てるかわかんないから結構使えるよね。

「ちなみに、カツヤはどこか希望あんのか?」

「俺は・・・。W大にしようかと思ってたんっすけど、最近K大に転向しようかなって。」

??

そうなの?

彼女さんのいるW大だと思ってたけど。