ゆっくりと立ち上がって、自分のロッカーを開けた。

着替え用の剣道着をそっと取り出す。

カツヤの彼女って・・・。

ふわふわしてて、お化粧がよく映える顔立ちで、スカートがよく似合って、絶対こんな薄汚い剣道着なんて着たことないよな。

くすっ。

なんだか笑えてきた。

あはは、やっぱありえない。

だってカツヤと彼女ってものすごくお似合いだったもの。

そう、カツヤみたく美少年系男子は、ああいうふわふわした柔らかい感じの女性が似合うし、そういう女性を好きになるもの。

って、私が今まで読みあさった漫画から悟った独断だけどさ。


だけど。


ああいう。

直接的な、男性的な、告白って。

実は初めてされたんだ。

例え、カツヤが私をからかっていたとしても。

だから、すごーくドキドキした。

それに。

ちょっと嬉しかったりしたわけで。


ロッカーに付いている、少し曇った鏡に自分の顔がうつっていた。

夏でもないのに日に焼けたような顔。

ショートカットで色気のない顔。

「ないない」

私は心の中でつぶやきながら、首をふった。