目を上げると、カツヤの顔が目の前にあった。

ち、近いっての!

切れ長のカツヤの目が少し光ったように見えた。

相変わらずきれいな顔してるわ。

って、見とれてる場合じゃないって。

私はぷいっとカツヤの顔から離れた。

「じゃ。」

カツヤはぼそっとつぶやいた。

「俺が告白しても何も問題ないわけだ。」

は?!

何言ってんの、カツヤ。

カツヤは私の目を捕らえて離さない。

「もし俺がナツミさんのこと、前から好きでしたって言ったらどうしますか?」

「な、先輩をからかうんじゃないわよ。ささ、着替えてくるわ。」

慌てて、その場を離れようとしたら、私の腕をぐっと掴んできた。

ち、ちょっと待ってよ。

何これ?

「本気っすよ。」

カツヤの声がいつになく緊張していた。

「だって、カツヤにはあんなきれいな彼女さんいるんじゃない。」

カツヤから目をそらして、必死に言う。

「彼女じゃないですよ。家庭教師。ただの家庭教師。」

「じゃ、なんでただの家庭教師とキ・・・。」

と言いかけて口をつぐんだ。

言えないよね。

キスしてたの見たなんて。