「ほらほら、さっさとやんねと今日中に終わらないぞ。」

タイスケは面倒くそうに、左手でページをめくる仕草をして見せた。

結構いらち?

ふん。

なんで、私がタイスケの言いなりになんなきゃいけないのよ。

頭で何度も愚痴をこぼしながらも、タイスケの最もな態度に反論できないまま。

とりあえず、問題集に向った。


その後は、いつになく集中できちゃった私。

こんなに集中して勉強したのっていつ以来だろう?

時間すら気にならないほどに。

問題集を閉じたとき、ものすごい充実感に満たされた。

なんだか気持ちいいよ。

ようやく時計を探した。

図書館の時計は既に12時半を少し回ったところだった。

タイスケも一段落したのか、問題集をぱたんを閉じる。

「お昼だな。」

「うん。」

うんって言った途端、急にお腹が減ってきた。

「ここの学食、結構うまいんだ。今日はご褒美として俺がご馳走してやるよ。」

「は?ご褒美って、それ?」

「な、文句あんのかよ。高校生のご身分で誰かにご馳走するなんて結構厳しいんだぞ。」

タイスケの頬が少し赤らんだ。

自分で言ってて、恥ずかしくなったんだ。

ぷぷ。

笑える。

「はいはい。じゃ、ありがたーくご馳走して頂くわ。」

「それでいいんだよ。」

タイスケはプイと横を向くと、カバンを持って立ち上がった。