その時、タイスケがこちらを見ずにつぶやいた。

「わかんなかったら、まず解答を見ろ。それから考えろ。」

解答?

問題集の一番最後についてる解答を冊子から抜き取る。

なあるほど。

私は解答をノートにうつしながら、タイスケの言わんとしている勉強法が少し理解できたような気がした。

それにしても、タイスケも私の方を見もしないで、私の状況がよくつかめたもんだわ。

結構頼りがいあるじゃん。

タイスケの横顔を見ながら、少しだけ感服した。


4ページ目まで進んだところで、トイレに行きたくなってきた。

「ね、タイスケ、ちょっとお手洗い行ってくる。」

私もそんな正直に言わなくてもいいのに言ってしまうんだよね。

タイスケは、「ちっ」と軽く舌打ちした。

「もう休憩かよ。お前って集中力ねぇのな。」

タイスケはそんなことを言いながらも視線は問題集に注がれていた。

ふぅん。

所詮、私はあんたとは違うのよ。

それに、本当にトイレに行きたいんだもん。

生理現象はしょうがないじゃない。

私はタイスケに言われっぱなしのまま、席をたった。


トイレってどこかなぁ。

図書館の入り口付近にトイレのマークを見つける。

さぁ、入ろうとした時。

トイレから出てきた女性と目があった。

あ、この人。