こうして、とてつもなく辛くて長く感じられた部活の時間は終った。

稽古中、面の向こうで心配そうな目で見てくるカツヤ。

妙によそよそしい態度をとるタイスケの表情。

そして、そんなタイスケを見つめるハルナの姿。

そんなそれぞれの様子に、ため息が出る私。


面をとる。

そして、妙に力を込めて面タオルを頭から外した。

汗にまみれたくしゃくしゃの髪。

もうどうでもよかった。

手グシで直すのも面倒くさくて、髪の毛を振り乱したまま更衣室へ向かった。


更衣室へ入ろうとした時。

私の肩はぐっと誰かにひっつかまれる。

振り返ると、タイスケだった。

「さっき言ったろ?ちょっと話があるってさ。」

タイスケの向こうにハルナが心配そうな顔でこちらを見ているのがわかった。

「ハルナちゃん、心配そうに見てるけど。」

タイスケから目をそらして言う。

「構わなねぇって。」

「とりあえず着替えてくる。」

私はタイスケの腕を振り払って更衣室へ入った。


わざとゆっくり着替えてる自分。

つくづく嫌な性格だって思う。

部員達は次々と帰っていく。

「おつかれさまー。」

「おつかれ。」

力無く挨拶する。