更衣室には既に何人かの同級生や後輩達が着替えをしていた。

「ちーっす。あれ?ナツミ泣いてる?」

気が付かなきゃいいのに、目ざとく同級生のカナが声をかけてきた。

「ちょっと目にゴミが入っちゃってさー。」

わざとらしい言い訳。

「ふうん。ならいいんだけど。」

カナもいつもと違う私の雰囲気に何かを感じたのか、そのまま自分のロッカーにひきさがった。


正直、今日は部活、休みたい。

タイスケと顔を合わせるのが辛いし、何よりハルナとタイスケが一緒にいるところを見たくなかった。

きっと、二人を目の前にして平静でいられないと思うから。


たぶん、私の人生の中で初めての告白。

見事に惨敗。

友達として付き合ってきた人への告白って、破れるとこんなにもきついものなんだ。

ふぅ。

何度もため息が出た。

ようやく着替え終わり、重たい足をひきずって道場に向かった。

「こんちわー。」

まず最初に明るく声をかけてきたのは、一番会いたくないハルナだった。

ハルナの方を見ずに、少しだけ頭をこくりとして、そそくさと道場に足を踏み入れた。