「友達じゃなかったら何だよ。」

タイスケは冷静に返してくる。

気付けっての!

「友達じゃなくて、なんていうか、そういう風な対象じゃなくって、えっと。」

あー。

自分でもなんでこうモタモタしちゃうんだか。

焦れば焦るほど言葉が出てこない。

「俺は、」

急にタイスケの低い声がした。

「俺は、友達は一つの始まりだと思ってるから。」

始まり?

「大切に思える相手との関係を紡いでいく入り口っていうかさ。何か余計わかんなくなってる?」

「わかんない。」

正直に答える。

タイスケは言葉に詰まってる私に助け船出してるの?

それとも、タイスケ自身の気持ちを伝えようとしてる?

「んん。っていうか、お前は友達っていう言葉に過剰反応してる気がするんだけどさ。俺にとっちゃ、友達ほど大切に思う存在はないわけで。友達の形だって色々とあってさ、途中で訳あって途切れちまう友達だってあるし、ずっと続いていく中で変化していく友達だってあると思うんだ。」

よくわかんない。

本当に難しいことを言ってるのか。

すごく簡単なことをわざと難しく言ってるのか。