見上げると、青空にひらひらとピンク色の花びらが舞っていた。

大学の並木道には桜が植えられていた。

まだ、5分咲きってところ。

淡く色づいたつぼみがとてもかわいらしかった。

「図書館はこっち。この大学広いから迷子になんなよ。」

まるで、大学生気取りのタイスケ。

でも、本当に広い!

タイスケがいなかったら、自分がどこ歩いてるかなんて全くわからないよ。

わからないまま図書館に着いた。

わぁ。

図書館も広いんだぁ。

市立図書館にはたまに行くけど、そんなの比べモノにならないくらいの本の数。

天井も高くて、本の数には圧倒されるものの開放感に包まれている。

大学って。

なんかかっこいい。

タイスケは大きなテーブルを指さした。

「お前ここでやれよ。俺は隣のテーブルでやるからさ。」

「え?同じテーブルじゃないの?」

「だって、気が散るじゃん。」

へぇ。

そういうところはシビアなんだ。

タイスケの意外な一面を見たような気がした。

「でも、わからないとことか出てきたら、遠慮なく俺に聞けよ。」

えっらそう。

なるべく聞かなくて済むようにがんばろ。