ユウナには軽く笑って首をふった。

「ちょっと今タイスケに急用があってさ、今度ゆっくり話すわ。」

ユウナは明らかに不満そうな顔で私を見ていた。

でも、優先順位はタイスケ。

このままじゃ、本当に誤解されたままになっちゃうんだもん。

それだけは絶対嫌だった。

例え、タイスケが私を友達としてしか見てくれなかったとしても。


不満げな顔をしたユウナを残して、私はタイスケの前に歩み寄った。

「おはよ。」

とりあえず挨拶する。

タイスケは窓の外に目をやって、小さい声で「おはよ」と言った。

「昨日はごめんね。色々心配かけちゃってさ。」

「別に。」

「あのさ、ちょっと話がしたいんだけど、いい?」

タイスケは黒板の横の時計に目をやった。

「お前、今何時かわかって言ってんの?」

え?

その瞬間チャイムがなった。

もう一時限はじまるの?

うそ、私の腕時計ではまだあと15分ほどあるんだけど。

って、私の時計が狂ってるじゃんかぁ!

はぁ~。思いっきりうなだれる。