額から汗が流れ落ちた。

ハンカチでぬぐいながら、教室に向かう。

とりあえずは自分の教室に、ね。

カバンをどさっと机の上に置いて、タイスケの教室へ走った。

教室の前で深呼吸。


来てますように・・・。


そっと教室の扉から中をのぞいた。

まだ人影まばらな教室。

タイスケは・・・。

あ、いた。

一番端っこの窓際の席で、ほおづえついて窓の外を眺めていた。

よかった。

そのまま、私は教室に足を踏み入れた。

「あ。ナツミじゃん、おはよ。」

さぁ、タイスケのところまであと少しっていうのに、聞き覚えのある声が私を呼び止めた。

声の方を振り返ると、1年の頃一緒のクラスだったユウナだった。

「ユウナ、おはよ。」

とにかく手短に挨拶を済ませるはずだったんだけど。

「ちょっと、あの噂本当なの?」

「噂?」

「ほら、例のイケメンのカツヤくん、だっけ?付き合ってるらしいじゃん。」

ユウナは私の肩をこずきながら、ニヤニヤして言った。

ちらっとタイスケの方を見ると・・・

ばっちりこっちを見ていた。

よりによって、そんな話今持ちかけないでよー!