タイスケがどうして、わざわざ家にまで来たのか。

何の用事で、私に連絡をとろうとしてたのか。

それを聞く前にさっさと帰ってしまったタイスケ。

しかも、私とカツヤがうまくいってるって誤解したまま帰ってしまったわけで。

急に胸の奥の方がざわざわしてきた。

どうしよう。

帰ったら携帯に連絡してみよっか・・・

あ、でも私の携帯壊れてるんだった。

しかもタイスケの携帯番号も携帯に入ってるから、わかんないし。

どうしよう。

善は急げっていうのに、急ぐことすらもできない。

「ナツミ?聞いてるの?」

お母さんは、急に一点を見つめて焦った表情になってる私を心配そうにのぞき込んだ。

「あ、うん。タイスケ、どうして連絡くれたんだろう。」

「それは、わかんないわよ。でも、ナツミのことすごく心配してわざわざ来てくれたのよ。お礼くらい言いなさいよ。」

「わかってるって。」

「カツヤくんって、」

「え?」

「結構なイケメンね。」

な、何言い出すのかと思ったら。

「そ、そうだね。学校でもかなり人気あるみたいだし。」

「かっこいいけど、お母さんはタイスケくんの方が好きだな。」

・・・。

だから、何?

お母さんは私から目をそらして、ニンマリ笑った。

この人だけは、やっぱり侮れない。