タイスケと目が合う。

タイスケは少し口をとがらせて、横を向いた。

お母さんが慌てた様子で私に言った。

「あ、タイスケくん、何度も電話くれてたのよ。心配して家まで来てくれたの。その時丁度ナツミから電話があって、一緒にここまで来てもらったのよ。」

そ、そうなんだ。

「ちょっと聞きたいことがあって、ナツミの携帯に電話したけど全然でないからさ。自宅に連絡したら、まだ帰ってないっていうから。」

なんだか、嬉しいんだけど、喜べない現状。

カツヤの表情はますますこわばっていた。

そりゃそうよね。

無理もない。

「ごめん。」

とりあえず、タイスケに謝った。

「そっか、お前ら、大丈夫だったんだ。それならいいんだ。」

妙にハイテンションな声でタイスケが私たちに言った。

「え?ナツミ、カツヤさんとお付き合いしてるの?」

眉間にしわ寄せたお母さんが厳しめの口調で聞いてきた。

「え、いや・・・」

カツヤが声にならない声で否定しようとしたとき、

「じゃ、俺、これで帰ります。無事帰ってきたんなら安心したわ。」

タイスケは私のお母さんに一礼すると、乗ってきた自転車にまたがって颯爽と走っていってしまった。

ちょっと・・・

これじゃ、変な誤解うんでるままじゃない?