改札を通り、電車に乗り込んだ。

電車の中は意外と混んでいた。

会社帰りのおじさんやOLさん達が疲れた表情で乗っている。


だぼだぼのジャージを着てる私。

こんな電車の中じゃ一層目立ってるよね。

恥ずかしいと思いつつ、せっかく貸してくれたカツヤに申し訳なくて、普通の顔して乗ってるのが精一杯だった。


車掌さんが、私の降りる駅をアナウンスする。

「次だ。」

「うん。」

心なしかカツヤの声が緊張していた。

あれだけ「大丈夫」って豪語していたけど、やっぱ不安だよね。

頭のいいカツヤのことだから、誤解ないような言葉を用意してくれてるんだろうけど。

電車が止り、扉が開く。

沢山の人が降りていく。

その一番後ろに、私たちは続いた。

ゆっくりと改札へ歩く。

はぁ。

改札出たくない。

お母さんはどんな顔して立ってるんだろ。

そして、私たちを見たら、どんな表情に変化するんだろう??


胸がドキドキしてきた。

横にいるカツヤを見上げると、カツヤの顔が明らかにこわばっている。

だ、大丈夫なの??!