「大丈夫だって、俺、きちんと説明するから。」

カツヤは私の両肩を抱いて、しっかりと目を合わせた。

不謹慎にも、その目にドキッとする。

そして、何も言えなくなってしまった。

「俺たちは、今日でおしまいだけど、だからこそ、最後くらい男として俺を信じて。」

はぁ。

信じたいけど、うちの母親にかかったら、そう簡単にいくもんなのかなぁ。

なんとかため息を押さえてうなずいた。

濡れた制服をカツヤからもらったビニル製のバックに詰め込んで、玄関を出た。

ふわりとなま暖かい風が頬を撫でていった。

この湿気。

なんとも気持ち悪い。

この先のことを考えると一層嫌な気持ちになってしまうわけで。

横を見ると、カツヤが意気揚々と夜空を見上げていた。

「嘘みたいな夜空だね。」

言われて見上げると、先ほどの雨雲はどこへやら、澄み渡った星空が広がっていた。

「ほんと。」

その星空に少しの希望を見いだし、カツヤと駅に向かって歩いていった。

きっと、わかってもらえるよね。

だって、あの雷雨じゃどうしようもなかったんだもの。