雷が遠くで鳴る。

その音と同時くらいに、カツヤの腕は更に強く私を抱き締めた。

そして、そのままものすごい力でソファーに押し倒される。

え?!

ち、ちょっとダメでしょ~!

心の中で必死に叫ぶ。

カツヤが小さい声で言った。

「俺、やべ。」

カツヤの瞳はわずかに潤んでいた。

なんだかいつものカツヤの雰囲気じゃなくて、抗えない強い何かがカツヤの背後にあるようだった。

こわい。

カツヤの顔が次第に私に近づいてくる。

ダメ。

カツヤはマドカとやり直す。

そして、私は・・・。

カツヤと私の唇が触れる寸でのところで私は顔をそむけた。

「ダメだって。」

カツヤから目をそらしたまま、つぶやくように言った。

「ごめん。」

カツヤは私を抱いていた腕をゆるめた。

もう少しで、私もカツヤの雰囲気に飲み込まれそうだった。

私も悪いんだ。

カツヤだけのせいじゃない。