「そうだよね。カツヤがそう思うのも無理ない。私自身も自分の気持ちがわかってるようで全くわかってなかったのかもしれない。」

小さな声で言った。

しばらくの沈黙。

なんだかだんだん辛くなってきた。

私、何を言いたかったんだろう。

「ごめんね、カツヤ。最後までこんなで。」

カツヤはシュンとうつむいた。

「だけど、カツヤは私とマドカが似てるって言ってたけど、それは違うよ。」

「似てる・・・よ。」

「ううん、違う。マドカは、私よりもずっと意思がはっきりしてるし、それを貫き通せる力を持ってる人。私は、ご覧の通り全然。」

首をすくめながら、情けなく笑った。

「だから、カツヤもきっとマドカとやり直して正解。今度こそ大丈夫よ。」

その時、カツヤが立ち上がって、私を抱き締めてきた。

え・・・?

窓の向こうにはまだ雨がたたきつけている音。

そして、幾分遠ざかったけど、時折雷の音が響いていた。

それ以外は何も聞こえない静かなリビングで、私はカツヤに抱き締められていた。

正直、こうやって抱き締められていることが苦痛ではなかった。

逆に、安堵感すらあった。

私は、一体何を求めているの?

カツヤに。

そして、タイスケに。