「少し歩きましょうか?」

カツヤゆっくりと元来た道を歩き始めた。

人気もまばらになった商店街。

いざ、私から切り出したものの、最初の言葉がみつからない。

ただ、カツヤと並んで歩いてるだけ。

私って。

本当に肝心な時、いつもダメだよな。

こんなんだから、何やっても中途半端になっちゃうのかもしれない。

タイスケから言われた厳しい言葉が胸の奥でうずいた。


「あのさ。」

思い切って口を開く。

カツヤは優しい目で私を見た。

思わず目をそらす。

「今日、マドカとはどうなってるのかっていうことも聞きたかったんだけど、もう一つ、大事な話をしようと思ってきたんだ。」

「うん。」

「さっき、先にカツヤに言われちゃったことだけど。」

カツヤはうなずかずに前を向いた。

「私、やっぱりタイスケを友達として見るなんてできなかった。」

呼吸を整える。

「タイスケから『友達』って突き放されて、その時はそれほどでもなくって。ちょっとイラっとしただけだったんだけど。カツヤと付き合い始めて、カツヤのこと知るにつれて、タイスケのこと忘れられると思ってたんだけど。」

「もういいよ。」

カツヤは前を向いたまま、静かに言った。

「え?」

「最初からわかってたことだし。ナツミさんがタイスケさんのことずっと気になってるって。」

カツヤは前髪をかき上げた。

「でも、ナツミさんと初めてキスした時。ひょっとしたら、俺にも少しは勝算があるかもって期待したんだ。だから、俺はもう少しナツミさんとの関係がんばろうって思ってた。」