なんだか訳がわからないまま、いつのまにか駅に向かって二人で歩いていた。

結局、私がふられた感じになってるんだろうか。

でも、ちょっと何かが違うような気がしていた。

「ナツミさん。」

駅が先に見えてきたところでカツヤが言った。

「やっぱ男女間で友達なんてうそっぱちなんですよ。」

カツヤの顔を無言で見上げた。

「ナツミさんだって、本当は気付いてるんでしょ?」

薄暗がりの中、ぼんやりとカツヤの輪郭が浮かんでいる。

「きっと、タイスケさんだって気付いてるんですよ。」

カツヤは私から視線をそらした。

何言ってるの?

その時、ふと我に返った。

私、今日はカツヤに大切なことを話そうと思ってきたんだった。

「カツヤ、私ね。」

思わず立ち止まる。

カツヤは数歩進んで、振り返った。

「言わなくてもいいです。俺、ずっとわかってたし。」

駅の光が逆光になってて、カツヤの表情はわからなかった。

でも、とても優しい声だった。

「俺も、がんばるから。ナツミさんもがんばって。」

カツヤは右手を挙げた。

カツヤ・・・。

あなたは、本当にマドカが好きなの?

私は、曖昧な顔をしてうなずいて、改札に定期を入れた。