「カーツヤ。」

カツヤの肩をポンと軽く叩いた。

「あ。すみません。」

カツヤは慌てて頭を下げた。

「なんだか、今日は謝ってばっかりだよね。もういいって。いこいこ。」

敢えて、明るく言った。

カツヤは少しだけ笑うと、うなずいて私の後に続いた。

「どこで話しよっか。」

カツヤの顔をのぞき込む。

「俺んち。」

カツヤは私と目を合わさずに言った。


え?


前の時とはまた違った、胸のドキンだった。


カツヤの家には二度目。

でも、なんだか今日は気持ちが引ける。

うつむいた、長い睫毛の奧にカツヤの瞳が暗くしずんでいた。

いつものカツヤじゃないみたい。

何かを思い詰めてるっていうか。

私が本音で話そうっていう雰囲気とはまた違う。


タイスケ。

こんな時はどうすればいいの?

私はまだ男の人って、よくわからない。


戸惑いながらも、「俺んち」って即座に答えたカツヤに従わざる得ない空気が漂っていた。