その時、携帯が鳴った。

見ると、カツヤからだった。

すぐに耳に当てる。

「あれ?カツヤ?今日は用事があったんじゃ。」

「すみません。やっぱり、ナツミさんとの予定を優先した方がいいと思って。」

「・・・。大丈夫なわけ?その用事は。」

「そのことも。きちんと会って話したいから。」

「うん、わかった。今どこ?」

「駅前の本屋です。」

「了解。すぐ行く。」

私は携帯を切ると、足早に駅へ向かった。


カツヤ。

私も今日はきちんとあなたに向き合うよ。

そして、胸の奥のくすぶってる気持ちを正直に伝える。

カツヤも、正直な気持ちを言ってくれるかな。


少し薄暗くなった商店街を抜けて、カツヤの待つ本屋にたどり着いた。

いつもの雑誌コーナーにカツヤは何を見るわけでもなくたたずんでいた。