「ごめん、タイスケありがとう。タイスケの気持ちは十分わかったわ。」

「え?」

「カツヤにはきちんと話する。あと従妹のことも。」

「お、おう。」

「受験は・・・。もう少し考えさせて。これ以上、タイスケにも迷惑かけんのも嫌だし。自分の気持ちも色々とあるしさ。」

タイスケは何も言わなかった。


なんだか、また涙が出そう。

タイスケに涙を見られるのが嫌だったから、そのままスクッと立ち上がった。

「じゃ、行くね。」

しばらく行きかけたところで、タイスケが私を呼び止めた。

「どうなったかは、俺に報告してもらえる?」

変な聞き方。

でも、神妙な口調。

「そうだね。友達として、心配してくれてるタイスケにはきちんと報告しなきゃね。」

私は振り返らずそう言うと、ゆっくりと校舎の方へ歩き出した。


今、タイスケはどんな顔してるんだろう。

私を見送ってくれてるのかな?

それとも、別のところに視線を落としてるのかな。

さっきの私の『友達』っていう言葉に、何かを感じてくれてるのかな。


ふぅ。

なんだか疲れた。