タイスケはくるっと私の方に向き直った。

「はぁ。びっくりしたなぁ。」

タイスケの顔はややこわばっていた。

「ま、付き合ってないってわかってもらえたんだからいいんじゃないのぉ。」

私はプイッと横を向くと、さっさと本屋の出口へ歩いていった。

「だってさぁ。」

タイスケが後ろで何か言いかけた。

私は聞こえないふりをして、まっすぐ歩いて行った。


本屋を出ると、いつの間にか随分薄暗くなっていた。

時計を見たら18時!

そんな長い時間本屋でウロウロしてたんだぁ。

それにしても、カツヤ。

今からデートなんだろうか。

こんな遅くから?

なんだか大人っぽい感じ。

それに比べて、こいつって。

タイスケの横顔を見上げた。


「ねぇ。」

そんなタイスケの横顔に呼び掛けた。

「ん?」

「カツヤって、誰とデートなんだろうね。」

「そんなこと、どーでもいいや。それより腹減った。何か食わねぇ?」

ふぅ。

相変わらずマイペースってか。色気ないってか。

私はちらっと本屋の方を振り返った。

あ。

カツヤだ。