「人間にとって、誠意ってものすごく大事なことだと思うんだ。なんだかまじめくさった話で申し訳ないけどよ。」

タイスケがそんな話を正面切ってするのって、初めてかもしれない。

複雑な気持ちのまま、でも、そんなタイスケの言葉を待ってる自分がいた。

「誠意がない奴は、誰を好きになったって、絶対幸せになんかなれないぞ。」

小さくうなずいた。

「あと、カツヤと従妹さんの関係もお茶を濁したままで本当にいいのかよ?それぞれに対して、もっと思いやりってか、心配な気持ちがあるんなら、きちんと話聞いてやるべきなんじゃないのか?」

その通り。

「ま、受験勉強は最後でいいけど。」

とやや言いにくそうに、

「でも、俺だって受験についてはお前に対して親身に協力してきたつもりだしよ。その俺に対してだって、なんつうか、あんまり適当にあしらわれたら、そりゃ頭にくるってか。親しき仲にも礼儀ありだろ。」

あ。

そうだったのか。

タイスケはそこに一番傷ついてたわけ?


あはは。

少しでも、私に気があるのかも?なんて期待していた私がバカでした。

やっぱり、私には期待するって価値すらない人間なのかもな。

なんだか情けなくなって、笑いながらため息をついた。


タイスケは慌てて言葉を付け加える。

「俺のことは全然後回しでいいけどよ。とにかく、俺はお前を心配してるってことだよ。」

そうよね。

友達だもの。

友達として心配なんだ。

わかったよ、タイスケ。

もういいよ。

これ以上、言わなくて。

それに、私はこの場でこれ以上聞いていられない。