私、タイスケに何しゃべってるんだろ。

そんなことタイスケに言って、何かを期待してる?

まさかね。

昨日から、少し優しくなったタイスケに、何か期待してる。

ふぅ。

そういう自分が嫌い。

そうやって、うまくいった試しがないもの。

自分からは何も行動をおこしちゃダメなんだって。

自分で根拠もないのに勝手に期待しちゃダメなんだって。

何度も頭を打ってるはずなのにね。


肩が触れあう距離にいるタイスケのまとった空気が気持ちよくて。

居心地がよくて。

なんだかずっとここにいたい。

カツヤのことも、マドカのことも、色々もやもやしてる。

でも、ここにタイスケがいるっていう事実だけは、はっきりしていて。

その明確な事実が、今の私にはすごく必要な気がした。


「お前さ。」

ふいにタイスケが口を開いた。

少しドキッとしてタイスケの方を見る。

「ここんとこ、全部中途半端なんだよ。」

期待はずれの言葉がタイスケの口からこぼれ出す。

「へ?」

「やっぱお前は変ったよ。以前だったら、もっと色んなことにはっきりしてて、わかりやすくて。なのに、最近はカツヤのこともなんだかきちんと向き合えてないみたいだし。従妹さんとカツヤの関係だって、正直はっきりしないまま流しちゃってるし。もちろん受験勉強だってさ。」

あまりにズバズバと言われて、何も言えなくなる。

「俺は、そんな中途半端なナツミは好きじゃないな。」

胸の奥の方がにぶく痛んだ。

そんな風に中途半端になってる私。

私だって、好きじゃない。

それも、全部あんたが原因なのよ!って心の中で叫んだ。


「お前がカツヤのこと本気かどうかなんて、知ったこっちゃねぇ。でも、本気じゃないならきちんとカツヤに話すべきだ。カツヤはお前にかなり本気だぞ。お前には誠意が足りないよ。」

誠意?