マドカは気を取り直したかのように、ほおづえをついて私を見た。

「ね、ね。ナツミも何か話があるんじゃないの?教えてよ。」

「あ。」

私がマドカに話そうとしてたこと。

もう言えない。

だって、カツヤとの関係、このまま続けてていいのかってことだったから。

タイスケへの気持ち、どうすればいいのかっていうことだったから。

私は笑った。

「そうそう、私も付き合うの、本当に久しぶりだしさ。しかもあのカツヤでしょ?どうやっていこうかなーって思って。」

「カツヤがリードしてくれるから大丈夫よ。」

「ま、まぁ、そうだよね。」

「でも。」

「ん?」

「カツヤって結構手が早いから気をつけて。」

マドカはくすっと笑った。

「手が早い?」

「うん。もうキスはした?」

ドキン!

顔が熱くなる。

「うわ。もうしちゃった?ナツミはわかりやすいね。」

マドカは私の顔を指さして笑った。

そんなことより、今はマドカの気持ちが心配だった。

本当に笑ってるの?

「あのさ、これからよかったらうちに来ない?久しぶりにお母さんもマドカに会いたいって言っててさ。」

「わ、おばさんもお元気?中学の頃は、毎週末泊まりに行かせてもらってたもんね。」

「元気元気。時間さえよければうちで晩御飯も食べていきなよ。」

「あ、そうしたいところだけど、今日は実家で晩御飯食べる予定だから、ごめんね。おばさんにもよろしく言っておいて。」

「そっか、残念だけどしょうがないよね。」

私は肩をすくめた。

うん。

今日はその方がお互いいい。

きっと二人ともこの場所で顔を見合わせてるの限界。

マドカの顔色が悪くなっているのが気になってしょうがなかった。

そして、私たちは喫茶店を出て、別れた。