「大丈夫?マドカ。」

「ご、ごめんね。泣くつもりなかったんだけどさ。」

「いいよ、泣きたかったら泣きなよ。」

「ありがとう。ナツミはいつも優しいよね。」

心臓がキュッと痛んだ。

「だから、カツヤだってナツミを選んだんだって思う。」

「そんなこと・・・。」

「カツヤの相手がナツミじゃなかったら、きっとまだまだあきらめられずに辛い思いしてたかも。だけど、相手がナツミじゃ、そろそろ潮時かもね。」

マドカは涙をハンカチで拭きながら、痛々しく笑った。

笑わなくてもいいのに。

失恋の痛みは・・・・

私も最近知ったばかり。

どんなけ気持ちが重くなるかくらいわかってるつもりだもん。

笑えないよ、普通。

でも、そんな言葉も今のマドカにはかけられなかった。

ただ、マドカの肩を優しく撫でた。

「最後に聞かせて。」

「ん?」

「ナツミは、本気でカツヤのこと好き?」

すぐに言葉が出なかった。

「ね、好き?」

「うん。」

「ほんとに?」

「うん、好きだよ。」

「じゃ、よかった。」

私は曖昧な顔で笑った。


私の気持ちは複雑だった。

だって、私はカツヤのこと好きになっていく、そのまっただ中なんだもの。

好きまで到達するには、あと少し時間がいる。

私が本当に好きなアイツが、『友達』として割り切れる日が来るまで。