「さっき、マドカはカツヤのことで話があるっていってたけど、実際どうなの?マドカは本当にカツヤと友達として割り切れてるわけ?」

マドカは思い詰めたような表情で私を見つめた。

「ナツミだから、ぶっちゃけ本心言っちゃおうかな。」

私の気持ちが後ずさりした。

聞きたくない・・・かも。

「いいよ、言いなよ。」

「私・・・まだカツヤのこと好き。」

「うん。」

「中学三年の夏。カツヤが別の女の子とちゃらちゃら遊んでる現場を発見して、一方的に別れようって言ったんだけど、やっぱり忘れられなくて、それからも毎日電話してた。」

マドカはコーヒーをすすった。

「カツヤは何度も私に謝って、もう浮気しないからよりもどそうって言ってきたりしてたんだけど、なんていうか女の意地はっちゃって。その当時はそれを素直に受け入れられなかったんだ。」

「で?」

「だから、『友達』っていう選択をしたの。カツヤは訳がわかんないって感じだったけど。」

マドカはくすっと笑った。

「そうすることで、なんとなく自分が優越感にひたれたっていうか。私から友達を宣告したんだっていう。少しでも、浮気されたショックを埋めるために、そんな選択したんだと思う。」

「そんなもんなの?でも、その当時はカツヤも謝ってきたし、お互い好き同志だったんでしょ?」

「カツヤが私を本気で好きだったかなんて、今となってはわかんない。だってあの当時はかなり女遊びしまくってたみたいだから。付き合った時だって、大勢の一人だったのかもしれないなーって、今はそう思ったりもするんだけど。」

「じゃ、友達と恋人の違いは何なの?」

思い切って聞いてみた。

「友達になってからは、長時間デートしたり、カップルみたいないちゃいちゃしたりすることはやめた。会う回数ももちろん減らしたし。ただ、連絡を取りたいときはとって、用事があれば会った。お互い誰と付き合っても干渉しなかったし。」

「でも・・・マドカはずっと好きだったんでしょ?」

「うん。」

「そんな関係、つらくなかった?」

「つらくないわけないじゃん。」

マドカの目にみるみる涙があふれてきた。