「久しぶりだけど、元気だった?」

運ばれてきたお冷やに口をつけながら、目をくりくりっとさせてマドカが聞いてきた。

昔から変らない、どんぐりのようなかわいらしい目。

本当に血が繋がってるの?

って何度も自分のお母さんを問いただしたっけ。

身内の私が言うのもなんだけど、マドカはかわいい。

「ほんと、久しぶりだよね。こっちはまぁまぁ元気にやってるよ。マドカは?」

「うん、元気元気。全寮制だとなかなか自由がきかないんだけどね。」

「そうだよね。急に高校遠くへ行っちゃうからショックだったよ。」

「当時は思い切った選択だったよ。色々あって、この場所から離れたいっていう気持ちがあったから。」

「え。そうなの?当時付き合ってた彼と別れたとか言ってたやつ?」

急にマドカの顔が曇る。

触れちゃいけなかった?

「ああ、そういうこともあったね。」

「ごめん、言いたくなかったらいいよ。」

「ぜんぜん!もう昔のことだもの。」

「そうだね。」

二人の間に少し沈黙が流れる。

私もお冷やを慌てて流し込んだ。

「で、カツヤ・・・とは?」

聞いてきたのはマドカの方だった。

しまった。

私から切り出せばよかった。

なんとなく不利な展開。