カツヤは、ようやく私の方を見た。

遅いっつうの!

「あ、ごめん。俺、もう行きます。じゃ、お二人ともごゆっくり。」

半ば放心状態で、自転車にまたがり、また元来た道を遠ざかっていった。

ふぅ。

マドカと私がついたため息は同じタイミングだった。

思わず顔を見合わせる。

「ナツミ。びっくりしたよ。」

「何が?私の方が訳わかんないんですけど。」

「と、とりあえず、ゆっくり話できるとこ行こうよ。」

「うん。」


私たちは昔から二人で通っていた喫茶店へ足を向けた。


久しぶりに会って嬉しいはずなのに、この微妙なテンション。

何を話せばいいのかわかんない。

話したいことはいっぱいあったけど、さっきの光景見たら、何も話せなくなった。

まずは、マドカから話聞かなくちゃ。

この動揺を沈めるためにも。


喫茶店につく。

一番奥のテーブルに通された。

思いの外、たくさん人が来ていた。

その人の多さに、幾分気が紛れる。