「急にブレーキかけたら危ないじゃない。」

そう言いながら自転車を降りた。

「ひとまず、間に合ったわ。カツヤ、ありがとね。」

カツヤの顔の方へ回る。

カツヤはじっと一点を見つめて、動かなかった。

へ?

「何?」

カツヤの視線をたどっていくと、

マドカが立っていた。

マドカも、こちらを向いて、目を大きく見開いて微動だにしない。

どういうこと?


なんだか胸がドキドキしてくる。

変な胸騒ぎ。

なんかいやだ。

この感じ、以前にもあったかも。


カツヤがゆっくりと口を開いた。

「ナツミさんの従妹さんって・・・マドカ?」

どうして?

どうしてカツヤがマドカを知ってるわけ?

マドカはゆっくりとこちらに歩いてきた。

「ナツミ。久しぶりっていうか、カツヤ・・・最近付き合いだした女性って、ナツミだったの?」

・・・????!

この会話、訳わかんないんですけど。

私は、両方の顔を交互に眺めた。

二人とも、私の存在を忘れたかのように、目を見開いて見つめ合っていた。