さすがに、カツヤのお腹に手をまわすのは躊躇されたから、自転車のサドルのはしっこをしっかり握った。

らっきー。

まさかこんなところでカツヤと偶然出くわすなんてね。

やっぱり、カツヤと私って運命的な何かがあるのかしら?

なんてね。

誰かの自転車の後ろに乗るなんて、何年ぶりかな?

小学校の頃、よく友達の後ろにつかまって乗ってたっけ。

後ろに乗るのも、結構バランス感覚がいるんだよね。

またがって乗るのは問題ないけど、女の子座りっていう片側だけに両足をブランってさせる乗り方。

彼氏の後ろでそうやって乗るのが夢だったよなぁ。

・・・。

って、今その状態じゃん。

だけど・・・。

うわ。

私思いっきりまたがってるし!

こういう時こそ女の子座りじゃないといけないんじゃないの?!


カツヤの背中をゆっくりと見上げた。

きゃしゃな感じだったけど、背中は随分と広い。

やっぱ剣道で鍛えてるだけあるんだよね。

ブラックのTシャツがとてもよく似合っていた。


キキーッ。

急ブレーキ。

思わずよろけてバランスを崩す。

びっくりした。

どうしたっての?カツヤ。

停まった場所を見ると、既に岬公園の入り口だった。