「もういいじゃない、この話。せっかくのカレー、ゆっくり味わって食べさせてよ。」

カレーにゴロンとのっかっているジャガイモに目を落として言った。

「はいはい。じゃ、ごゆっくり。」

お母さんはそう言いながら立ち上がると、リビングのソファーの方へ行って、テレビをつけた。

わかるんだけどね。

お母さんが私を心配してくれてるんだってことくらい。

私だって、もうお年頃だし。

変な男にうつつ抜かしてないか、進路に支障をきたすようなことはないか、なんて色々考えてくれてるんだろうけど。


なんだろ。

今ははっきり言えない。


お母さんは、きっとタイスケのことを気に入っていて、私とタイスケが付き合えばいいのに、なんて思ってるんだよね。

そりゃ、お母さんがそう思うのも無理ない。

私が失恋してどん底にいた時、すくってくれたのもアイツ。

進路で迷ってる私に道しるべを作ってくれたのもアイツ。

タイスケにはお世話になりっぱなしなんだよね。

母親的には、そうやって自分の娘を甲斐甲斐しく助けてくれる相手が付き合うにはふさわしい相手だって思って当然なわけだし。

そんなお母さんの気持ちが痛いほどわかるから、逆に現状が伝えられないのかもしれない。

ガックリする顔見るのも辛いし。

そんな顔みたら、また私の気持ちもぶれそうだし・・・?