「色々あんのよ。別にいいでしょ。ほっといて。」

せっかくのおいしいカレーが台無しだわ。

今は一番思い出したくない存在。

思い出した途端、胸の奥の方がずきずきする。

「ま、あんたが話したくないならきかないけど。お母さんはてっきりタイスケくんとあたながいい感じなのかなぁなんて思ってたから。」

「勝手に思わないでよ。」

「そうね。タイスケくんは今までナツミがしんどいときいつでも力になってくれる子だったでしょ。だから、お母さんも願望としてタイスケくんだったら、ナツミとお似合いかもなーなんてね。」

お母さんは我が事を話しているかのように目をつむって、うっとりしていた。

ばっかじゃない。

大きく検討外れてるし。

優しかったタイスケは、もういないのよ。

私に彼氏ができてからは。

そんなお母さんを無視して、黙々と食べ続けた。

「でも、最近えらくおしゃれして出かけることが増えたような気がするんだけど。他にいい人でも見つかった?」

くそ。

なんでこんなに詮索してくるんだ。今日は。

やっぱり、普段と違う私、だから?

数時間前、公園でカツヤとしたキスを思い出して一人顔が熱くなった。

「あ、赤くなってるー。図星?」

そんな私をからかって、笑ってるお母さん。

なんだかむかつく~。

今まで何でも話してきた仲だから、カツヤと付き合ってることも話してもいいはずなんだけど。

なんだかまだ話す気になれないまま今日まで来ていた。

なんでだろう?

別に隠すこともないのに。

あんな格好いいカツヤと付き合えるなんて、もっと有頂天になって報告すべきなのにね。