いつもの軽装に着替え、洗面所で手と顔を洗った。

別に、何も変ったわけじゃないのに、なんとなく、自分の顔が今までと違うような気がした。

リビングに入ると、カレーのいい香り。

「わ、今日はカレー?」

「ふふ、そうよ。今日は牛肉が安売りしてたから、たっぷり入ってるわよ。」

お母さんは嬉しそうに私のお皿にカレーをよそった。

カレー。

小さい頃から大好きなんだよね。

どこで食べるのよりも、お母さんが作ったカレーが好き。

何でだろ?

市販のカレールーだから、誰が作っても同じ味のはずなのに、近所のおうちで食べたカレーの味は明らかにお母さんのものとは違っていた。

「あー、お腹すいたー。いっただきます!」

スプーンにカレーをてんこ盛りにして、大きな口を開けた。

ぱくり。

うーん、とろける~ぅ。

「でさ。」

急にお母さんが口を開く。

「最近、タイスケくんは元気?」

・・・。

結局そこに話題がいくのかい。

「あ、元気、なんじゃない?最近あんま話してないから知らない。」

「え?そうなの?部活も一緒だし、最近勉強も教えてもらってたんじゃないの。えらく冷たい言い方ねぇ。」

お母さんは私の正面に座って、ほおづえをついた。

そんな観察するような顔で見ないでよ。

明らかに不愉快な気分になって目をそらした。